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陰陽・五行について

先ほど、「もうちょっと分かりやすいようになんとかしてほしい」との要望を受けました。
子午流注等の運気論で、は陰陽と五行の関係を重視しますが、どうやら鍼灸学校ではそこまで深くは陰陽と五行の関係性までやらないということが分かり、その状態ではこのブログで言っていることは伝わらないだろうなぁと感じました。

それにしても意外です。東洋医学は東洋哲学がベースとなっているので、陰陽と五行についての関係性はやりこむものだと思っていました。そこで理解を深めるべく、陰陽論と五行論、そしてこれらの関係性についてみていきたいと思います。
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陰陽論とは

それではまず、陰陽論からみてきたいと思います。

陰陽論は、突き詰めれば八卦になるということは、周易のところでお話したとおりですが、そもそも「陰陽論」とはどういうものなのでしょうか。

goo辞書によると、
〔陰と陽。中国の易学でいう、宇宙の万物に働く相反する性格のもの。天・男・日・昼・動・明などは陽、地・女・月・夜・静・暗などは陰であるという。おんよう。〕
というようになっています。
この"相反"というのがポイントになってきます。
goo辞書ではまだ適切な解説ですが、よく「この世は全て陰と陽の2つから成り立っている」のが陰陽論だという説明が見られますが、それは正しくないです。
必ず比較対象があるものでしか陰と陽は分けることができません。

例えば、「熱」は陽、「寒」は陰ですが、この寒熱は何と比べて熱い、寒いが分かれるのでしょうか?

ぽつんと何か物があるとします。ただ見てるだけではそれが熱いのか冷たいのかは分かりませんよね。
どのようにしたら熱いのか寒いのかが分かるでしょうか。一番手っ取り早いのは触る事ですよね。
触る事によって、「物と体温が触れることによって熱い寒いの判断ができた」=「物体と体温が関係性を持った」からで、見ていただけでは「温度に関して」はその物体との関係は無かったということになります。
関係性のないものに、陰と陽は分けることができません。「熱い」や「冷たい」にすら分類できませんからね。

つまり、陰と陽は何かしらの関係がなければ分けることができないということです。
逆にいうと、何かしらの関係があれば、陰と陽に分けることができるということになります。
これはまず押さえておかなければならない概念です。

それでは、どういうものが陰で、陽なのかを見ていきます。こういうのは教科書でもあるかと思います。

太陽(日)奇数
太陰(月)偶数

こういうような感じですね。

それではどういったものが「陰」「陽」かというと、動的なものを「陽」、静的なものを「陰」とします。
動的なものとは、光っているもの、温暖なもの、上昇しているもの、主になって動いているもの、外向性なもの、無形なもの、清らかなもの等です。
静的なものとは、暗いもの、寒冷なもの、加工しているもの、動かされているもの、内向性なもの、有形なもの、汚いものなどです。
これらを関連性のある事象ごとに「陰」と「陽」とに振り分けることによって、その事象の成り立ちを考えるというのが、陰陽論の本質です。

また、同じ物でもある人は「冷たい」と感じても、ある人からは「温かい」と感じる場合もあります。
冷たいと感じた人はそれを「陰」と判断しますが、「温かい」と感じた人は「陽」であると判断しますよね。
このように、同じ物でも関係性によっては「陰」と「陽」が逆転しうることもあります。
これも理解しておかないと後で混乱のもとになってしまいます。

これを押さえておかないと、ここではこれを「陽」といっていたのに、なんでここでは「陰」なのだろうか、という疑問がたくさんでてくることになります。
何と何を比較しているのか。それを先ず第一に考えなければなりません。
比較して、上記のような条件に当てはめることによって「陰」と「陽」がどのように配当されたのかをその都度考えるようにしていけば良いと思います。

それでは次から陰と陽にはどういうような関係性があるのかをみていこうと思います。

陰陽の性質 陰陽の可分性

それでは、陰陽の間にはどのような関係性があるのかをみていきます。

陰陽の可分性
陰と陽はさらに陰と陽に分けることができます。
それによって「陰中の陽」とか「陰中の陰」、「陽中の陽」「陽中の陰」という表現ができることになります。
どういうことかというと、陰は陰でもその中に陽の性質を帯びていたり、陽は陽でも、その中に陰の性質を帯びているということがありえるからです。
「陰中の陽」等の表現も、蔵府でとらえると分かりやすいですね。
「陰中の陽」とは肝臓を意味しています。肝自体は陰陽で言うと陽ですが、身体の位置にすると陰となります。
その為に陰中の陽(身体の位置は陰にしてその性質は陽)ということになります。
他も同様で、
「陰中の陰」は腎臓を意味し、腎自体は陰で、身体の位置も陰。その為「陰中の陰」となります。
「陽中の陽」は心臓を意味し、心自体は陽で、身体の位置も陽。その為「陽中の陽」となります。
「陽中の陰」は肺臓を意味し、肺自体は陰で、身体の位置は陽。その為「陽中の陰」となります。
脾臓だけは特殊なので省略します。

このように、五蔵の関係を陰陽で上のように表すのは陰陽の関係性からきている為で、陰陽は細かく細分化できるということです。
ちなみに、「陰中の陰」を「太陰」、「陰中の陽」を「少陰」、「陽中の陽」を「太陽」、「陽中の陰」を「少陽」とも表します。
ここでややこしいのが、易学との言葉の使い方の違いで、易学では「陰中の陽」を「少陽」、「陽中の陰」を「少陰」と表現しています。おそらく古代ではこの使い方が正しかったんでしょうが、前漢以降、陰陽論が再構築されていくなかで誤解が生じ、誤った言葉の使い方が定着してしまったものと考えられます。
易関係の本をみる時は注意してくださいね。どっちの表現を使っているかによって真逆の意味になってしまいますから。

陰陽の可分性はこんな感じですかね。
『素問』「陰陽離合論 第六」には、
陰陽なる者はこれを数えて十にすべく、これを推して百にすべし。これを数えて千にすべく、これを推して万にすべし。万の大よりは勝(あ)げて数うべからず。然て其の要は一なり。
とあります。
つまり、「陰と陽は無数に規定できるが、その要点はただ陰陽」のみということです。
いくらでも陰陽を分けることができるのは、八卦自体にも言えることですね。
分けることができなければ八卦は存在しないことになりますから。

陰陽の性質 陰陽の整体性と相対性と規定性

陰陽の整体性
最初に陰陽とは関連性がないと陰と陽に分けることができないといいましたが、これを「陰陽の整体性」といいます。
何か比較する要素がなければどうすることもできないということですね。


陰陽の相対性
そして比較する要素があれば、陰陽に分けることができます。陰陽は「動的なもの」と「静的なもの」から類推します。
「動的なもの」、「静的なもの」というように、相対する者同士をくらべることになります。

比較対象物が3者以上になると、少しややこしい一面がでてきます。
例えば、Aさん、Bさん、Cさんがいるとします。
この3人の背の高さを比べてみた時、
AさんとBさん AさんよりもBさんの方が背が高い Aさん→陰 Bさん→陽
AさんとCさん CさんよりもAさんの方が背が高い Aさん→陽 Cさん→陰
となると、AさんはBさんとCさんどちらで比べるかによって陰と陽が変わってきてしまいます。
これを「陰陽の相対性」といいます。
つまり、比べる者によっては陰と陽は変わってしまう可能性があるということです。
陰なら陰、陽なら陽と固定化されないということです。


陰陽の規定性
また、問題としている範囲が決まった後に、その問題の中に含まれている陰陽は変えることができません。
これを「陰陽の規定性」といいます。
例えば、
温度の場合だと、高いものが陽、低いものは陰。上昇しているものだと陽、加工しているものは陰。
というように、何を問題としてるかによって陰陽は固定化され、それは変えることはできません。
比較したい事柄を一旦決めると、陰と陽が勝手に決まってしまうというところでしょうか。


このへんはあまり理解しきれていない所なので、あいまいな説明になってしまいました。
このあたりは治療にもかなり応用できる概念なだけに、上手い具合に説明できたら良かったんですけどね。

陰陽の性質 陰陽並行と陰陽消長と陰陽転化

陰陽並行(いんようへいこう)
陰と陽は並行関係つまり常に一定を保とうとします。
身体で言う所のホメオシタシスですね。
この並行関係がくずれてしまうと、病気等の何かしらの異変を引き起こしてしまいます。

鍼灸では陰と陽のバランスがどうなっているのかを診て、病状を判断します。
「陽盛(ようせい)」、「陽虚(ようきょ)」、「陰盛(いんせい)」、「陰虚(いんきょ)」という具合ですね。

「陽盛」は、陽気の働きが盛んで、陰気の働きが落ちている状態です。陽は熱、陰は水分なので、乾燥しやすくなります。
「陽虚」は、陽気の働きが落ちている状態です。熱が足りない為に、冷えやむくみといった症状がでます。
「陰盛」は、陰気の働きが盛んで、陽気の働きが落ちている状態です。熱がない為に冷えやむくみといった症状がでます。
「陰虚」は、陰気の働きが落ちている状態です。熱が勝つため乾燥しやすく、熱がこもりやすくなります。

「陽盛」と「陰虚」、「陽虚」と「陰盛」は症状は似ていますが、原因は違います。
これを見極めることが大切になってきますね。

これらの例をみて分かる通り、陰と陽は並行関係にないと身体に異変が出てしまいす。
そうならない為にも、陰と陽は並行関係を保つことが大切です。


消長平衡(しょうちょうへこう)
また、陰陽は対立しているので時間などによって常に量的変化をしています。
例えば、夜から朝にかけていく場合を考えると、陰は夜で朝は陽ですから、時間がたてばたつほど陰が減少していき、陽が増加していきます。この関係を「陰消陽長(いんしょうようちょう)」といいます。
また、昼から夜にかけていく場合を考えると、時間がたてばたつほど陽がが減少していき、陰が増加していきます。この関係を「陽消陰長(ようしょういんちょう)」といいます。
「陰消陽長」と「陽消陰長」は、易の「十二消息卦(じゅうにしょうそくか)」というものでもみることができます。
「十二消息卦」とは、下の図のようなものです。

十二消息卦

易を十二月に配当するとこのようになります。
ここで記号の意味を簡単に説明しておきますと、棒線が陽、破線が陰を表しています。
易は陰と陽を3つ積み重ねた物で、どのように積み重なったかによって卦が変わってきます。
例えば、☷は陰が3つ積み重なったもので、坤卦となり、地を表しています。
             ☷
更に坤卦が加わると☷となり、これは「坤為地」という卦になります。最終的には2つの卦を組み合わせてみるものなのです。        
くわしくは周易のところをみてください。

この図をみていると、陰と陽が増えたり減ったりしているのを確認できると思います。
ここでの「陰消陽長」とは、子の「地雷復」、丑の「地沢臨」、寅の「地天泰」、卯の「雷天大壮」、辰の「沢天夬」が該当します。
だんだん陰の勢力が弱まり、陽の勢力が強くなっていくのがわかると思います。

ここでの「陽消陰長」とは、午の「天風姤」、未の「天山遯」、申の「天地否」、酉の「風地観」、戌の「山地剥」が該当します。
だんだん陽の勢力が弱まり、陰の勢力が強くなっていくのがわかると思います。

この様に対立を繰り返しながらも全体的には並行関係を保っている関係を「消長平衡」といいます。


陰陽転化(いんようてんか)
さて、陰陽は「消長平衡」によって、対立を繰り返していますが、対立をしていると陰陽のどちらか偏るときが必ずきます。
「十二消息卦」でいうと、巳の「乾為天」と亥の「坤為地」です。「乾為天」では陽に偏っている状態、「坤為地」は陰に偏っている状態です。このままずっと偏ったままかというと、そうではありません。
平家物語の初めにある「盛者必衰の理をあらわす」というのが端的に説明している言葉で、栄華(=陽)を極めた後は必ず没落(=陰)します。
これを陰陽で考えると、陰が極まってしまうと陽に変化するようになり、陽が極まってしまうと陰に変化してしまうということです。
「陰極まれば陽」、「陽極まれば陰」という表現は、このことを意味しています。
「十二消息卦」では、巳の「乾為天」で陽が極まると一陰が生じて午の「天風姤」となります。
亥の「坤為地」で陰が極まると、一陽が生じて子の「地雷復」となります。
特に「地雷復」はそこから春の兆しが見えてくることから「一陽来復」とも呼ばれます。
このように、陰と陽が互いに変化することによって、陰陽の並行を保つことを「陰陽転化」といいます。



これらから考えると、「消長平衡」と「陰陽転化」によって「陰陽並行」が保たれているということです。
その為、陰陽のバランスも「消長平衡」の内なら多少崩れても大丈夫といえますが、この多少から大きく外れてしまうと身体の調子を崩してしまうということなので、よくありません。
よって、陰陽のバランスがどのぐらい崩れているかを見極めるのも大切になってきます。

これで、陰陽の関係性はだいたい終わりました。
次は五行についてみていきたいと思います。

五行について

それでは「五行」についてみていきましょう。
そもそも「五行」とはどういうものなのでしょうか。

歴史的に見てみると、最初に「五材」という、人間が生活するのに最低限の要素から出発したようです。
すなわち、「木(植物)」、「火」、「土」、「金(金属)」、水です。
これをいろいろなものにその性質等から同定していったものが「五行」となったようです。
五行とは、「木行」「火行」「土行」「金行」「水行」のことです。
あえて行とつけたのは、そこまで意味はなかったりしますが、こういうような表現をする場合もあるのでつけてみました。
これら五行には様々な性質があるので、それらをみていくことにします。


「木」の性質
      形体は「温柔(おんじゅう)」。「温かで柔らかいもの」を指します。
      性質は「(曲直きょくちょく)」。「曲がったり、真っ直ぐになること」を意味します。
      これらより物象には、「樹木」や「草木」、「風」等ががあてはまります。

「火」の性質
      形体は「明熱(めいねつ)」。「明るく熱いもの」を指します。
      性質は「炎上(えんじょう)」。「燃え上がること」を意味します。
      これらより物象には、「炎」や「太陽」等ががあてはまります。

「土」の性質
      形体は「含散(がんさん)・持實(じじつ)」。「包容力」・「実のあるものを保持するもの」を指します。
      性質は「稼穡(かしょく)」。「種をまいて収穫すること」を意味します。
      これらより物象には、「大地」や「山」等ががあてはまります。

「金」の性質
      形体は「強冷(きょうれい)」。「強く冷たいもの」を指します。
      性質は「従革(じゅうかく)」。「加工して形が変わること」を意味します。
      これらより物象には、「金属」、「鉱石」等ががあてはまります。

「水」の性質
      形体は「寒虚(かんきょ)」。「寒く虚しいもの」を指します。
      性質は「潤下(じゅんか)」。「潤い下ること」を意味します。
      これらより物象には、「河」や「霧」等があてはまります。

このようになります。五行には「形体」と「性質」の2つがあります。これらからどのようなものが当てはまるかを類推します。
類推したものが「物象」であり、様々なものが分類されています。分類することを「五行配当(ごぎょうはいとう)」といい、さまざまなものが五行に振り分けられています。

 
五蔵
五府
五季
五方
五味
五精
小腸
長夏
中央
大腸
西
膀胱

これらは一例です。
他にもいろいろな配当があります。
それらの一部は、細かく話すときに紹介していきます。

五行の基本的なところはこれぐらいですかね。次は五行同士の性質についてみていきます。

五行の性質 五行相生と五行相剋

では、五行の関係性をみていきたいと思います。

五行相生
まず五行は互いを生みだす関係にあります。これを「五行相生(ごぎょうそうしょう、ごぎょうそうせい)」といいます。

「木生火(もくしょうか)」
               木は自然に発火して燃えることがよくあります。
               よって「木行」は「火行」をうみます。
「火生土(かしょうど)」
               ものが燃えると灰になり、灰は土になります。
               よって「火行」は「土行」をうみます。
「土生金(どしょうごん)」
               土は長年つもりにつもると金属となります。
               よって「土行」は「金行」をうみます。
「金生水(ごんしょうすい)」
               冬場に金属は結露しやすくなります。
               よって「金行」は「水行」をうみます。
「水生木(すいしょうもく)」
               水は植物をよく育てます。
               よって「水行」は「木行」をうみます。

生みだすものを「母」、生みだされる方を「子」といいます。

この考え方は『難経』六十九難によって応用されることになります。
「虚なる者は其の母を補い、実する者はその子を瀉らす。」というのが、六十九難の主旨です。
「虚なる者は其の母を補う」というのは、母に当たる五行の力を強めることによって自分を生みだす確立を増やし、虚(力のない状態)を平(問題ない状態)に持っていきやすくさせるということです。

逆に「実する者はその子を瀉らす」というのは、自分の子供が虚になっているのでそれを補わせる為に自身の一部が相生によって子に変化します。変化させた分だけ自身は減るので、力がなくなるということになります。
これが「瀉らす」ということです。


五行相剋
また、各五行にはある決まった相手を抑えつける関係があり、これを「相克(そうこく)」といいます。

「木克土(もっこくど)」
             「木行」は栄養分を「土行」から得て大きく育ちます。
             すると、「土」は栄養分を「木」にとられてやせてしまいます。 
「土克水(どこくすい)」
             堤防である「土」は川の「水」をせき止めてくれます。
             すると、「水」は「土」に邪魔されてすすめません。 
「水克火(すいこくか)」
             「水」は「火」の勢いを止め、場合によっては消すことができます。
             すると、「火」は「水」があると勢いよく燃えることができません。 
「火克金(かこくごん)」
             「火」は「金」を溶かすので加工するのに大変役に立ちます。
             すると、「金」は「火」によって硬さが失われてしまいます。
「金克木(ごんこくもく)」
             斧の「金」は「木」を切ることができます。
             すると、「木」は「金」に倒されてしまうのです。 

自身が克されるものを「鬼(き)」と言い、克すものを「破(は)」と言います。
例えば「木克土」なら、「木」から見ると「土」は「破」で、「土」から見ると「木」は「鬼」です。
 
鍼灸でいうと、『難経』五十三難による「七伝」がこれに当たると思います。
「七傳なる者は其の勝つ所に傳うるなり。(略)假令(たと)えば、心病肺に傳わらせば、肺は肝に傳え、肝は脾に傳え、脾は腎に傳え、腎は心に傳える。一藏再び傷られず。故に七傳なる者は死すと言うなり。」
つまり、病が相剋で伝わっていってしまうといづれは死んでしまうということです。

このように、五行相剋というとマイナスイメージがあるのですが、実はそうでもありません。
最近、五蔵それぞれが正常に機能するためには相剋関係も必要であるというのに気が付きました。

何のために相剋が起きているのか。それはそれぞれの五行が正常に働くために起こるからです。

「木克土」
      「土行」の「稼穡」が働き過ぎて実り過ぎないように、「木行」の「曲直」によって正常を保つ。

「土克水」
      「水行」の「潤下」が働き過ぎて水浸しにならないように、「土行」の「稼穡」によって正常を保つ。

「水克火」
      「火行」の「炎上」が働き過ぎて熱がで過ぎないように、「水行」の「潤下」によって正常を保つ。

「火克金」
      「金行」の「従革」が働き過ぎて革め過ぎないように、「火行」の「炎上」によって正常を保つ。

「金克木」
      「木行」の「曲直」が働き過ぎて伸び過ぎないように、「金行」の「従革」によって正常を保つ。

ということではないでしょうか。
相剋で悪いイメージがつくのは、この相剋が過剰に働いてしまう場合だと思います。
五行相剋が過剰に働いたり、相剋が逆転してしまう場合もあるんですが、それは次にまわしたいと思います。

五行の性質 五行相乗と五行相侮と五行勝復

では今度は五行の異常な状態をみていきましょう。

五行相乗
五行相克」の度が過ぎた状態を「五行相乗(ごぎょうそうじょう)」といいます。
よく「相乗効果」という言葉を耳にしますが、この言葉はいい意味で使かわれることが多いですが、「五行相乗」はあまり良い状態とは言えません。「五行相乗」は起こる原因によって二通りあります。

「木乗土(もくじょうど)」
             ・「木」が過剰に「土」の栄養分をとると、「土」はやせてしまいます。
             ⇒木旺乗土(もくおうじょうど)
             ・「土」に栄養分があまりない状態で「木」が栄養分をとると、「土」はさらにやせてしまいます。
             ⇒土虚木乗(どきょもくじょう)

「土乗水(どじょうすい)」
             ・堤防が完全だと、「土」が完全に「水」をせき止めます。
             ⇒土旺乗水(どおうじょうもく)
             ・「水」が少量だと、「土」は完全に「水」をせき止めます。
             ⇒水虚土乗(すいきょどじょう)

「水乗火(すいじょうか)」
             ・「火」がどんなに燃えてても、それ以上の「水」を大量にかけると「火」は消えてしまいます。
             ⇒水旺乗火(すいおうじょうか)
             ・「火」があまり燃えていなければ、「水」が少なくても「火」は消えてしまいます。
             ⇒火虚水乗(かきょすいじょう)

「火乗金(かじょうごん)」
             ・「火」の温度を上げると、ほとんどの「金」は溶けてしまいます。
             ⇒火旺乗金(かおうじょうごん)
             ・融点の低い「金」は、「火」の温度をそれほどあげなくても溶けてしまいます。
             ⇒金虚火乗(ごんきょかじょう)

「金乗木(ごんじょうもく)」
             ・「金」が鋭ければ、太い幹の「木」も切り倒すことができます。
             ⇒金旺乗木(ごんおうじょうもく)
             ・幹が細い「木」なら、「金」で簡単に切り倒せます。
             ⇒木虚金乗(もっきょごんじょう)

このように、克される方の力が弱くなっていると、相剋過剰つまり相乗になってしまいます。
この場合、鍼灸で治そうとするとかなり難しい状態にあるといえると思います。
慢性病が治るのに時間がかかるのは、相乗関係にあるからだとも言えるからです。


五行相侮
また、克されていたものが逆に克してしまう関係を「五行相侮(ごぎょうそうぶ)」または「反克(はんこく)」と言います。
「五行相侮」には「五行相乗」と同じく、起こる原因によって二通りあります。

「木侮金(もくぶごん)」
             ・「木」の幹が太すぎると鋭い「金」でも切り倒すことができず、逆に傷めます。
             ⇒木盛侮金(もくせいぶきん)
             ・切れ味の悪い「金」だと、「木」を切り倒せず、さらに傷めます。
             ⇒金虚木侮(ごんきょもくぶ)

「金侮火(ごんぶか)」
             ・「金」の融点が高すぎると少々の「火」でも溶かすことができません。
             ⇒金旺侮火(ごんおうぶか)
             ・「火」の温度が低いと「金」を溶かせず、加工できません。
             ⇒火虚金侮(かきょごんぶ)

「火侮水(かぶすい)」
             ・「火」の勢いが強すぎると少しの「水」では消せず、逆に蒸発します。
             ⇒火盛侮水(かせいぶすい)
             ・「水」が少ないと「火」を消せず、すぐに蒸発します。
             ⇒水虚火侮(すいきょかぶ)

「水侮土(すいぶど)」
             ・「水」の勢いが激しすぎると「土」はせき止められず、逆に壊れます。
             ⇒水盛侮土(すいせいぶど)
             ・「土」が不完全だと「水」をせき止められず、壊れます。
             ⇒土虚水侮(どきょすいぶ)

「土侮木(どぶもく)」
             ・「土」に栄養分が多くありすぎると、「木」は逆に腐ります。
             ⇒土盛侮木(どせいぶもく)
             ・「木」が小さいと「土」をあまり必要とせず、あまり養分を吸収しません。
             ⇒木虚土侮(もくきょどぶ)

このように、克す側の五行の力が弱まってしまい、克すことさえできなくなってしまうので、返って抑えられてしまう状態です。


勝復
このように、「五行相乗」「五行相侮」のような異常状態になると身体では病が生じてしまいます。
ある五行が強まったり、弱まったりしないように「五行相克」や「五行相生」が繰り返され、平衡の関係にしようとします。このような関係を「勝復(しょうふく)」といいます。

例えば木乗土によって、「木行」が「土行」に勝った場合、「金行」が「木行」を抑えたり、「土行」の「母」である「火行」が「土行」を補ない、正常な範囲にさせます。
陰陽論での「陰陽並行」と同じことが五行でも起きているということです。


その他の性質
この記事を書くために調べなおしていたら、中医学の本でその他の五行異常について書かれていたので、軽く紹介しておきます。まだよく分かっていないところなので、誤った解釈をしているかもしれませんが。

「反生(はんせい)」(「逆五行(ぎゃくごぎょう)」)
・「金行」は「水行」を滋養する(金生水)と同時に「水行」も「金行」を養生させることができます。
このように、子が母を養うこともできるということです。

「母病及子(ぼびょうきゅうし)」
・「母の病が子に及(およ)ぶ」という意味で、五行相克の時の『難経』五十三難に、「七伝」だけでなく、「母病及子」にあたるであろう「間臓」についても書かれていました。「五行相剋」のときには関係のない条文だったので省略してたんですが。
その条文は、
間臓なる者は、其の生じる所に傳うるなり。(略)假令(たと)えば、心の病脾に傳うれば、脾は肺に傳え、肺は腎に傳え、腎は肝に傳え、肝は心に傳う。是れ、母子相傳え竟(おわ)りて復た始まること環の端が無きが如し。故に生(い)くと言うなり。
というものです。
つまり、病が「五行相生」」で伝わる場合もあるということです。

「子病及母(しびょうきゅうぼ)」
・「子の病が母に及(およ)ぶ」という意味です。「母病及子」とは逆で、子の病がその母に伝わるということです。

「同気相長(どうきそうちょう)」
・同じ五行のものを生みだす関係です。「五行配当」における同じ五行に属すものを生じさせることです。
例えば東方は風を生み、風は木を生み、木は酸を生み、酸は肝を生み、肝は筋を生み、…というように、同じ五行のものを生みだすということです。

「過則自傷(かそくじしょう)」
・これは「同気相長」が相生的意味合いだったのに対し、相剋的に働くことです。
例えば怒は肝を傷(やぶ)る、風は筋を傷る、酸は筋を傷る、…というように、同じ五行のものを傷つける(=克す)ということです。

さて、これで陰陽と五行についての性質は終わりました。
次はこれら陰陽や五行がどのように数字や十干十二支(六十干支)とつながっているかをみていきたいと思います。

数字の配当その1 生数

では数字の配当についてみていきたいと思います。

陰陽論では奇数は陽、偶数は陰となっています。
つまり、
一・三・五・七・九…陽数
二・四・六・八・十…陰数
となります。

次に五行の配当についてみてみます。
数字にも五行の配当があるのは意外かもしれませんが、古典を読んでいるとよく五行と数字を一緒に書いている場合もあります。その場合は何かしらの意味があるということです。

それではみていきましょう。
古典の言葉によって解説しているので、分かりにくいところはいっぱいあると思います。
分からなかったら、各説明の最後をみてもらえれば結構です。



「一」は「水行」です。何故「水行」なのか。
『五行大義(ごぎょうたいぎ)』には、
「天の數(すう)は陽と合して一と為す。水は陰物と雖も、陽は内に在り。陽の始に従る。」
という説明があります。これだけはなんのことかさっぱり分かりませんが、ひとつひとつ分解してみると分かると思います。

「天の數(すう)は陽と合して一と為す。」
天は即ち陽であるので、一は陽の数であるという意味です。

「水は陰物と雖ども、陽は内に在り。」
水は陰に属しているものなのにも関わらずどうして陽に属すのかという説明をしています。これは八卦に関係しています。八卦すなわち周易に関しての詳しいことは周易をみてください。
水は八卦で言うと坎卦。坎卦は☵で上下の陰の中に陽が挟まれている形となります。「陽は内に在り」とはこのことを指しています。

「陽の始(はじめ)に従る」
坎卦にある一陽を以て陽の初めと見るからです。

これで以て水を一に配当しているということです。
分かったような分からないような感じかもしれません。
もっと分かりやすくいうと、やはり生命が生きていくためには水が必要だから水を最初にもってきた、と解釈した方が良いでしょう。この方が分かりやすいですし。



「二」は「火行」です。
『五行大義』には、
「陽極まって陰を生じ、陰は午に始まる。始め亦た二無し。陰陽の二氣は其の始めに有り。正に應ずること一と言うべくして二と云うは、陽の尊きを以ての故なり。尊きは既に始めを括(くく)る。陰は卑しくして贄(たす)けて和配す。故に能く生じて陽の數は陰を偶して火の中に在り。火は陽物と雖も義は陰に従って陰の始に配合す。故に始めに従いて義を立てる。」
とあります。
ここはかなり難解です。

「陽極まって陰を生じ、陰は午に始まる。」
「陽極まって陰を生ず」は陰陽論のところでやった陰陽転化のことですね。
「陰は午に始まる」とは、午は十二消息卦では「天風姤」。陽の極まりである巳の「乾為天」から一陰が生じた形となっているので、「陰は午に始まる」といいます。

「始め亦た二無し。陰陽の二氣は其の始めに有り。」
始め(一)は二では無いという当たり前のことと、陰と陽の二つの気はそれぞれ始めがあるということを言っています。

「正に應ずること一と言うべくして二と云うは、陽の尊きを以ての故なり。尊きは既に始めを括(くく)る」
二は陰の初めであるので一としても良いはずなのにどうしてそうしないのかというと、陽は尊きものなので陰よりも優先すべきであるから、というようなことが書かれています。

「陰は卑しくして贄(たす)けて和配す。故に能く生じて陽の數は陰を偶して火の中に在り。火は陽物と雖も義は陰に従って陰の始に配合す。故に始めに従いて義を立てる。」
陰は陽を助けて結合します。その為、陰は陽によって生まれ、陽の数は陰とペアとなって火の中にあるとなります。
どうしてペアになることが火になるかというと、八卦によるものです。

火は八卦でいうと離卦☲で上下の陽の中に陰が挟まれている形となります。
これによって火自体は陰陽でいうと陽ですが、陰の義も含まれているとなります。
この義によって火を一ではなく、二に配当しているとなります。

これも分かったような分からないような感じですよね。
人間が生きていく中で水の次に何が必要かと言われれば、まず火になりますよね。
火の熱がないと体温が維持できないので生きていけませんし、調理もできませんし、暖もとれません。
火を二に持ってきた理由はこういうことだと解釈すればたぶん大丈夫です。



「三」は「木行」です。
『五行大義』には、
「木は陽に配して動き、左して東方に長じ、長ずれば則ち滋繁し、滋繁すれば則ち數増す。」
とあります。
これは説明しにくいですね…。

「木は陽に配して動く」
これは木は陽に属しているということです。二のところの説明で、「陰は陽を助けて結合する。」と書きましたが、これはそれを受けてのことでもあります。
一と二である水と火が一緒になればどうなるでしょうか。水蒸気になりますよね。水蒸気は自由に動き回ります。
結合するということは、足し合わせるということです。つまり一+二=三。これによって三は「動く」を本質にもつことになります。

「左して東方に長じ、長ずれば則ち滋繁し、滋繁すれば則ち數増す。」
これは陽の一からみて左(陽)に動くと陽の三になるからです。何故そうなるのかといえば、周易の「後天八卦(こうてんはっか)」をみてもらえれば分かるかと思います。周易で一は北の「坎卦」に当たり、三は東の「震卦」に当たります。よって、「坎卦」から左転すると「震卦」につくからです。「艮卦」に当たるのではないかと言われそうですが、この場合は、「四正」のみを考えているからです。
また、「震卦」の卦徳は「動」であることを思い出してくださいね。
そして、動くということは成長するということです。木行の「曲直」⇒「曲がったり、真っ直ぐになること」を思い出してください。
そして成長するということは数が増えるとういことです。

これによって、三に木行がきます。
まだ一と二と比べれば分かりやすい方でしょうか…。
人が生活する上で、「水」と「火」の次に必要となってくるのは食べ物ですよね。食べていかなければ生きることができません。食べ物の代表を「植物」として「木」とする。
多少強引ですが、このように解釈すれば良いと思います。



「四」は「金行」です。
五行大義には、
「陰は陽の消を佐(たす)け、陰道は右に轉じて西に居る。陽の後に在りて、理等しき義無し。」
とあります。
これもちょっと難しいですね。

「陰は陽の消を佐(たす)く」
これは、陰陽論でやった消長平衡のことですね。陰は陽が消えていくのを助けるとあるので、「陽消陰長」を意味します。

「陰道は右に轉じて西に居る。陽の後に在りて、理等しき義無し。」
これも「後天八卦(こうてんはっか)」に係わっています。既に坎には一、離には二、震には三が入っています。三から右転すると坎にりますが、それを通り越して兌にいくからです。

こんな感じですか。
人が生活する上で、「水」、「火」、「木」ときたら何になるでしょうか。それは木を切ったりするのに当然刃物が必要となってきます。刃物は「金」です。
これも強引ですが、このように解釈すれば良いと思います。



「五」は「土行」です。
『五行大義』には、
「陰陽の數は始めて一周し、然る後に陽は中に達して四行を総括す。包めば則ち弥(いよいよ)多し。」
とあります。
陰と陽の数は、四で一周します。一周したあとどうなるかというと、中心に来ることになります。
土は中心に居座り、他の四行(木行、火行、金行、水行)を統べることになり、土が他の四行と結合していくことで新たらしいものを生みだす原動力になります。
「土行」の「含散・持實」⇒「包容力」・「実のあるものを保持するもの」を思い出してください。

こんな感じです。


一から五までの数字は基本の数字となります。その為一から五までを「生数(しょうすう)」と言います。
これを後天八卦と組み合わせてみるとこうなります。

生数

六から十までの数字も「生数」と「土行」の五と深い関わりあいがあるので、次はそれをみていきましょう。

数字の配当その2 成数

さて、前回では生数(一・二・三・四・五)をみました。
今回は六以降の数字をみていこうと思いますが、それには数字の五がカギとなってきます。

『五行大義』には、『春秋釋例(しゅんじゅうしゃくれい)』から引用して、

五行の生數(しょうすう)は未だ変化して各おの其の事を成すこと能わず。
水は凝すれば、未だ流行すること能わず。
火は形有れど、未だ炎光を生せず。
木は破るれば、體(かたち)剛(こわ)し、金は強ければ斫(さ)く
土は鹵(ろ)なれば片(へん)す。
是において天は五を以て民に臨み、君これを化す。

と書いてあります。
つまり、数は生まれたけれど内の五行が安定していないということになります。
五行の働きを安定させるには、五の数が必要不可欠となってきます。

さらにその続きには

『伝』(『春秋左氏伝』のこと)に曰く、配するに五を以て成る。
五を用いるゆえんは、天の中數なればなり。
是において、
水は五を得て、その數は六。用(も)って能く潤下す。
火は五を得て、その數は七。用(も)って能く炎上す。
木は五を得て、その數は八。用(も)って能く曲直す。
金は五を得て、その數は九。用(も)って能く従革す。
十は五を得て、その數は十。用(も)って能く稼穡す。

とあります。
つまり土の五の数は中心であり、他の四行に影響をあたえるので中数となります。
これが生数と結びつくことによって六、七、八、九、十が生まれまるということです。
これを成数(じょうすう)と言います。
生数が安定していなかったのに対し、成数は安定しているので各五行の性質がきちんと働くようになります。

これで、数字の陰陽及び五行の配当が終わりました。
生数のときと同じように、八卦とまとめてみると

生数と成数

となります。
実はこの配当は、河図(かと)というものから来ています。
河図とはどういうものかというと、

河図
                                    (『類經図翼』を基に作成)

というような図です。ワードで作ったので若干本物と違いますが、だいたいこのようなものです。
白丸が陽数、黒丸が陰数、内は生数、外は成数を表しています。

『類經図翼(るいきょうずよく)』には、
伏羲氏(ふっきし)天下に王たりしとき、龍馬圖(ず)を負(お)て河より出づ。
其の數一・六は下に居り、二・七は上に居り、三・八は左に居り、四・九は右に居り、五・十は中に居る。
伏羲これに則て以て八卦を畫(しょ)す。
とあります。

このように、数字の配当はかなり昔からあったとされています。
伏羲が王であったのは、夏王朝よりも前であったとされているのでかなりの大昔です。
伏羲が八卦を作ったとする伝説があったのを思い出してください。
それ故に、八卦に関係ある河図も伏羲が見つけたとういことになりますね。

さて、これまでみてきた数字の陰陽・五行配当を纏めてみると、

 
陰陽
五行
意味
生数
立つ
謀り事をめぐらす
出る
増す
結合
成数
興る
変化
伸び広がる
激しくなる
均しくなる

となります。
"意味"というのは、『考經援神契(こうきょうえんしんけい)』に載っている意味を纏めたもです。具体的の記載はここで載せているので省略します。
これは各数が持っている性質と置き換えることができます。

これで数字の配当は終わりました。
次は十干と十二支、そして六十甲子についてみていきます。

節分ですね

今日は、節分ですね。
豆まきをする方もいらっしゃると思いますが…。

どうして節分に豆まきをすると思いますか?
じつはこれ五行からきているんです。

豆まきと言えば鬼がいますよね。
鬼の姿といえば…。牛の角に寅皮のパンツ。

そう、十二支の丑と寅からきているんです。
丑は月でいうと、1月(旧暦では十二月、暦の上では冬)で、寅は2月(旧暦では正月、暦の上では春)。
明日の2月4日は立春で暦の上では春になるので、今日は冬から春に変わる日ということになります。

つまり、春を迎える行事というわけですね。
旧暦では立春前後に正月がきていたので、新年を迎える行事でもありました。

さて、豆はどういう意味をもつかというと、豆は植物。つまり五行で言うと木行。
春の五行でもあり、農作物の代表として使われています。
雑草も傷めつけられてもめげずに伸びてくるように、豆で以て鬼(冬と春の気)にぶつけることによって、
厳しい冬の気を退け、暖かい春の気を呼び起こし、作物が丈夫に育つようにという意味が込められています。

このように、五行は日本の伝統行事にも知らず知らずの間に取りこまれているということになりますね。

十干の配当

では、十干(じっかん)についてみていきたいと思います。
この十干というのは日付として使われています。それは商(殷)の時代から使われているので、かなり歴史は古いです。

十干とは五行を陰陽に分けたものです。
木の陽…甲(こう  きのえ  木の兄)
木の陰…乙(おつ  きのと  木の弟)
火の陽…丙(へい  ひのえ  火の兄)
火の陰…丁(てい  ひのと  火の弟)
土の陽…戊( ぼ  つちのえ 土の兄)
土の陰…己( き  つちのと 土の弟)
金の陽…庚(こう  かのえ  金の兄)
金の陰…辛(しん  かのと  金の弟)
水の陽…壬(じん みずのえ 水の兄)
水の陰…癸( き  みずのと 水の弟)

音読みと訓読みがあります。訓読みの「え」と「と」は兄弟(兄が「え」、弟が「と」)を意味しています。
日本では兄弟としていますが、中国では兄妹としているので、この違いは押さえていた方が良いです。
何故「兄妹」としているかは、十干の相剋に関わってくるからです。これはまた後ほど説明します。

また、上旬、中旬、下旬という言葉もおそらく十干がらみだと思われます。
10日たつと十干が一回りするからです。
昔の暦では月終わりは必ず29日か30日だったので、これを3分割すると10日ずつになります。
旬=10日ということなんでしょうね。

それでは十干それぞれをみていきましょう。
「甲」
   「押(おう)」のことです。「万物は春になると開き、冬になると閉じること」を表しています。
   象は「直木(ちょくぼく)」。「大木」等、「乾いた木」を表します。

「乙」
   「軋(あつ)」のことです。「万物がからを破って、自らきしみながら抜け出ること」を表しています。
   象は「従木(じゅうぼく)」。「草木」等、「湿った木」を表します。

「丙」
   「炳(へい)」のことです。「万物が強大になり、明らかに形をあらわすこと」を表しています。
   象は「明火(めいか)」。「太陽」等、「勢いよく燃える火」を表します。

「丁」
   「亭(てい)」のことです。「万物が成長してゆくと、ある時期に止まろうとすること」を表しています。
   象は「暗火(あんか)」。「蝋燭」等、「静かに燃える火」を表します。

「戊」
   「茂(も)」のことです。「万物が枝や葉を繁茂すること」を表しています。
   象は「燥土(そうど)」。「堤防」等、「乾いた土」を表します。

「己」
   「紀(き)」のことです。「万物が成就した時に、筋目があること」を表しています。
   象は「湿土(しつど)」。「田畑」等、「湿った土」を表します。

「庚」
   「更(こう)」のことです。「万物がみな縮んであらたまること」を表しています。
   象は「剛金(ごうきん)」。「鉄金」等、「硬い金属」を表します。

「辛」
   「新(しん)」のことです。「万物に実が新たにできること」を表しています。
   象は「軟金(じゅうきん)」。「宝石」等、「軟らかい金属」を表します。

「壬」
   「任(じん)」のことです。「万物が閉じ、いだみはらむこと」を表します。
   象は「明流(めいりゅう)」。「河」等、「大量の水」を表します。

「葵」
   「揆(き)」のことです。「万物が筋道をたてて芽生えること」を表しています。
   象は「暗流あんりゅう」。「霧」等、「少量の水」を表します。

このようになります。
長くなったので、十二支は次にしたいと思います。

十二支の配当

では、十二支をみていきます。

「十二支」はいわゆる干支です。
「十二支」とは、「子」、「丑」、「寅」、「卯」、「辰」、「巳」、「午」、「未」、「申」、「酉」、「戌」、「亥」の十二種類であることはご存じだと思います。

十干それぞれにも意味があったように、十二支にもそれぞれ意味があります。

「子」
    「孳(しげ)る」のことで、「陽気が動きだし、万物が芽生えること」を表しています。

「丑」
    「紐(むす)ぶ」のことで、「万物が芽生え、大きくなるのを、紐で縛ること」を表しています。

「寅」
    「移す」のことで、「万物が地面から出たとき、これを引っ張り出して伸ばし、地面から移しだすこと」を表しています。

「卯」
    「冒(おか)す」のことで、「芽が大きく成長し、地を覆い隠すこと」を表しています。

「辰」
    「振う」のことで、「草木が伸長する状態」を意味しています。

「巳」
    「已(や)む」のことで、「万物が繁盛の極になった状態」を意味しています。

「午」
    「忤(わから)う」のことで、「万物にはじめて衰微の傾向がおこりはじめた状態」を意味しています。

「未」
    「味(あじわ)う」のことで、「万物が成熟して滋味を生じた状態」を意味しています。

「申」
    「呻(うめ)く」のことで、「万物が成熟して締め付けられ、固まってゆく状態」を意味しています。

「酉」
    「猶(のば)す」のことで、「万物が成熟に達し、むしろちぢむ状態」を意味しています。

「戌」
    「滅ぶ」のことで、「万物が滅び行く状態」を意味しています。

「亥」
    「閡(とじ)る」このとで、「万物の生命力が落ち、すでに種子の内部に生命が内蔵された状態」を意味しています。



それでは陰陽の配当ですが、
子・寅・辰・午・申・戌……陽
丑・卯・巳・未・酉・亥……陰

です。
この配当の根拠は、きちんとしたものはみつけることができませんでした。
おそらく十二支の数字の配当や十干との関係からきているんだと思います。
これらはまた後にやるので今は置いておきます。

次に五行の配当です。
この五行の配当も纏めてあるものをみつけることができませんでしたが、十二支と十二月(じゅうにつき)の結び付きからきているのは間違いなさそうです。
十二月の配当とは、以下の図のようなものです。

十二支の十二月配当

                                      (ここでは月を旧暦で表しています)

春夏秋冬を三月ずつに分けています。
そして春は春でも旧暦正月の春と旧暦三月の春は暖かさ等が違います。
このような季節の度合いをそれぞれ「盛」「仲」「季」としています。

これと、春は木行、夏は火行、秋は金行、冬は水行との関係が結びつき、
子…水行
丑…土行
寅…木行
卯…木行
辰…土行
巳…火行
午…火行
未…土行
申…金行
酉…金行
戌…土行
亥…水行
となっています。

丑、辰、未、戌の四支は土行になっていることに注意してください。
これは季節の終わりには必ず土気がやってきて、季節を革める準備をしているからです。
土行は中心にきて四行を統べるという話をしましたが、それは十二支の五行配当にも関わってきているということです。
この期間を「土用」といいます。

その為、この四支は
辰→「春の土用」
未→「夏の土用」
戌→「秋の土用」
丑→「冬の土用」
となります。

また、土用の中でも五行の相生順によって夏と秋の間にある「夏の土用」を重視しています。
これを「長夏」といい、旧暦六月に相当します。
本来、夏→秋は相剋(火克金)になっていて、他の季節が相生順である(春→夏:木生火 秋→冬:金生水 冬→春:水生木)のと矛盾しているのですが、この「長夏」をいれることによって矛盾を解消しています。

鍼灸では「長夏」における脈を「緩脈」に配当しています。普段は聞き慣れない「長夏」を特別視するのはこのあたりの理論からきています。

さて、これで十二支も終わりました。
次は十干と十二支をむすびつけた六十甲子をみていきたいと思います。

六十甲子

さて、今まで十干と十二支をみてきましたが、この十干と十二支は別々に考えるのではなく、併せて考えていきます。

どういうことかというと、十干は別名天干、十二支は地支といって十干+十二支としてしるのが原則だからです。

具体的には甲と子で甲子、乙と丑で乙丑、丙と寅で丙寅、丁と卯で丁卯、戊と辰で戊辰、己と巳で己巳、庚と午で庚午、辛と未で辛未、壬と申で壬申、癸と酉で癸酉としていくんですが、十二支の戌と亥が余っているのにも関わらず十干は終わってしまいました。その場合、十干の最初の甲が戌と合わさって甲戌、乙と亥で乙亥、…というように配置していって最終的には60種類あることになります。

その表を挙げてみると

六十干支_弧虚表


というようになります。
表中の下には「孤」と「虚」というのも載せました。
これらはどういうことかとりうと、

「孤」とは列上で十干と結合していない十二支のことです。
一列目だと戌と亥が、二列目だと申と酉が、三列目だと午と未が、四列目だと辰と巳が、五列目だと寅と卯が、六列目だと子と丑が十干と結合していません。
「孤」は別名「空亡(くうぼう)」といいます。こっちの方がなじみのある人もいるかもしれないですね。占いではよく聞く言葉です。

「虚」とは、「弧」の十二支を6つずらしたものです。
子だと午、丑だと未、寅だと申、卯だと酉、辰だと戌、巳だと亥、午だと子、未だと丑、申だと寅、酉だと卯、戌だと辰、亥だと巳です。この6つずらしたものを對衝(たいしょう)と言いますが、これはあとでやります。

これで十干と十二支についての基本が終わりました。
次からは十干同士の性質、十二支同士の性質、六十甲子の性質について逐次みていきます。

十干と十二支の雑

では、十干と十二支の性質をそれぞれみていきましょう。

まずは「雑(ざつ)」です。「雑」とは十干と十二支では概念が違うようです。
十干による「雑」とは、十干同士が相交わる事です。
相交わるとは相剋の状態であり、結婚しているという状態です。
結婚するということは女性は性を変え、夫の性になります。この夫の性質になるということが「雑」ということです。

具体的にいうと、
十干だと甲は木行でその克すものは金行(金克木)なので、木行は金行によって滅ぼされないように木の兄(甲)はその妹である乙を庚(金の兄)に嫁がせます。いわゆる政略結婚というやつですね。金行に嫁いだ乙は金行の性質も帯びるようになり、金が混ざって雑金となります。

以下同じように考えていくと、


(純木)

(雑木)

(純火)

(雑火)

(純土)

(雑土)

(純金)

(雑金)

(純水)

(雑水)

となります。
純とは、交わっても性質が変わらないものを指します。ここでいうところの夫の性ということです。

このように、五行のバランスを保つためにそれぞれの兄は恐れるところに妹を差し出して関係の安定化を図ります。
これは五行の相剋のところでも書いたとおりですね。

また、十二支の雑は季節配当による季節の働きがまだ不十分な時期を「雑」といようです。
季節配当とは、

十二支の十二月配当

                                      (ここでは月を旧暦で表しています)
です。
旧暦正月は孟春です。この時期はまだ春の気に変わったばかりで、冬の影響を受けているので純粋な春ではなく、春は木行なので寅は雑木となります。
旧暦二月は仲春です。この時期は春の気が全盛期となり、春の気が中心となるので、卯は純木となります。
旧暦三月は季春です。この時期は次の季節への準備が少しずつ行われています。春の気は旧暦二月で盛んになった後の余りの気が働いているので、辰は余木となります。
以下、これを繰り返すと、

季節

(雑木)

(純木)

(余木)

(雑火)

(純火)

(余火)

(雑金)

(純金)

(余金)

(雑水)

(純水)

(余水)

となります。

「雑」は以上です。
雑や純は次で見る「徳」と深い関係にあるので、しっかりと覚えておきましょう。
プロフィール

kouitsu

Author:kouitsu
新米鍼灸師です。
元々違う分野を勉強していましたが、ある時身体の調子をくずしてしまい、その過程で東洋医学に興味を持ちました。

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