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奇恒の府その1 序

最近「奇恒の府」というものを調べていました。
それはある勉強会で発表するためにやっていたのですが、その調べてみたことを少しずつ公開していこうと思います。

テスト期間に入るんでしばらく文章が書けません。、そのうめあわせということです。


 学校の授業で五蔵について習っていたとき、「腎は精を蔵す」ということを教わっていたときのことでした。
『腎精とは先天の精のことである。この腎精が養っているのは髪、髄海(脳)、耳、歯、骨、脊髄、骨髓で、もし腎精が不足してくると老化が進むことになる。』というような説明を受けました。
この説明を受けた時、腎精が養っているものはひょっとしたら「奇恒の府」ではなかったかと思い、すぐに調べてみたら、「腦・髓・骨・脉・膽・女子胞」の六つが「奇恒の府」に属しているということでした。
 腎精が養っているもののなかで、脳、骨、髓(脊髄・骨髓を含む)は「奇恒の府」に属していましたが、他の耳、歯、髮は「奇恒の府」に属していなかったので完全に「腎精の養う所」=「奇恒の府」というのは勘違いでした。
しかし、脳、骨、髓が腎と関係があるならば、これら「奇恒の府」は五蔵と何かしらの関係があるのではないかというのが疑問の始まりで、もし五藏と関係が深ければ、認知症等で脳に対して治療を施す時には指標にもなるからです。
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奇恒の府についてその2 奇恒の府

 まずは奇恒の府とはどういうものかを調べました。(0-01)『素問』五蔵別論(11)に、「腦・髓・骨・脉・膽・女子胞。此の六者は地氣の生ずる所なり。皆、陰を藏して地を象る。故に藏して寫さず。名づけて奇恒と曰く。」とあります。これより「腦・髓・骨・脉・膽・女子胞」は「奇恒の府」に属していることが分かります。多紀 元簡(たき もとやす)による(0-02)『素問識』には、「奇恒の府」を「高は云う、奇は異なり。恒は常なり。常府における異を言うなり、と。」と解釈し、府は府でも、同じ府である常府すなわち「六府」とは区別すべき存在であることを強調しています。
 では「六府」についてはどういうものであるかというと、(0-03)『素問』五蔵別論(11)には、「夫れ胃・大腸・小腸・三焦・膀胱。此の五者は、天氣の生ずる所なり。その氣は天に象る。故に寫して藏さず。此れ五藏の濁氣を受く。故に伝化の府と曰う。」と膽が抜け落ちた「五府」で紹介されています。

 ここで注目しなければならないのは、
「奇恒の府」は「藏して寫さず」、「地氣の生ずる所」。
「六府」は「寫して藏さず」、「天氣の生ずる所」
であるので性質が真反対であるということです。

この「藏して寫さず」というのは五臓の性質で、『素問』五蔵別論(11)には、「いわゆる五藏なる者は、精気を藏して寫さざるなり。故に満ちて實すること能わず。」とあります。
つまり、性質は五藏と同じですが、かといって働きは五藏とも言えないものを「奇恒の府」としているのだと思います。

 それでは奇恒の府を順番にみていき、それぞれ何の藏と関連があったのかを示していこうと思いますが、脳と髓と骨はそれぞれ深い関係にある事分かったのでこれらはまとめて紹介していきます。

奇恒の府についてその3 脳・髄・骨

 まず骨と髓ですが、『素問』痿論(44)には「腎は身の骨・髓を主る。」としていることから、腎は骨と髓に深い関わり合いがあることが分かります。

 骨と髄の関係については、
『素問』脈要精微論(17)には、「骨なる者は髓の府なり。」
『素問』解精微論(81)には「髓なる者は骨の充なり。」
としています。

「漢字源」によると、
(1-04)府とは【{名}集まる所。】という意味があり、
充とは【{動}みちる(みつ)。みたす。中身が伸び張っていっぱいになる。】
という意味です。

このことから骨は“髓の集まり充たされているもの”と考えることができます。

 脳については、
『素問』五蔵生成論(10)には「諸髓なる者は皆腦に属す。」
『霊枢』海論(33)には「腦は髓の海と為す。」
『素問』奇病論(47)には「髓なる者は腦を以て主と為す。」
とあることから、腦は髓からできており、また髄の中心であるということです。

 また、髄については
『霊枢』経脈(10)には「人の始めて生ずるや、先ず精を成し、精成れば腦髓生ず。」
とあることから、髄は精からできていることが分かります。

 ここまでを纏めると、
1.髓は精から作られる。
2.骨は「髄の府」で、脳は「髄の海」であることから髄から骨と脳ができている。
ということになります。

 『霊枢』五癃津液別(36)に「五穀の精液和合して膏となる者は、内に滲みて骨空に入り腦髓を補益して下り、陰股(いんこ)に流るる。」とあるように、「五穀の精液の和合」=「後天の精」とも深く関わりがあります。

『霊枢』決気 (30) には、「腠理發泄(そうりはっせつ)し、汗出ること溱溱(しんしん)たるを是れ津と謂う。」
『霊枢』決気 (30) には、「穀入りて氣滿ちては淖澤(どうたく)して骨に注ぎ、骨屬屈伸して洩澤(せったく)しては腦髓を補益し、皮膚潤澤するを是れ液と謂う。」

とあります。
このように、後天の精からできる津液を「津」と「液」に分け、そのうちの「液」に腦髓を補益する働きがあるとしています。
また、『素問』逆調論(34)には、「夫れ水なる者は津液に循(つ)いて流るるなり。腎なる者は水藏にして、津液を主り、臥と喘を主るなり。」とあります。

そうすると津液は腦髄(「髄の海」)を補い、その津液は腎によって管理されているということになるので、腎気が不足すると津液が不足し、津液が不足すると髓が不足し、髓が不足すると骨が弱り、髄がかなり不足してくると脳の活動が低下するということが考えられます。
このため、腦・髄・骨は腎と深い関わりがあると言えます。

 余談になりますが、骨と脳が同じ髄から作られるのであれば、どこにその違いがでてくるのかを調べてみました。

 まず「府」と「海」という量的問題です。「府」は単に“集まっているもの”という意味なので、脳の「髄の海」に対する言葉としては「髄の池」というのが適当なところでしょうか。
そうすると脳は骨よりも非常にたくさんな髓からできているということが分かりやすくなります。

 また、『素問』脈要精微論(17)には「頭なる者は睛明の府なり。」としています。
『素問識』では「睛明の府」について、「張は云う、五藏六府の正氣は皆頭に上る。以て七竅の用と成す。故に頭は睛明の府と為す、と。高は云う、人身の精氣は上りて頭に會す。神明上りて目に出でる。故に頭なる者は睛明の府なり、と。」と解釈してありました。
両氏の意見を合わせると、頭には五藏六府の正氣や人身の精気が上っていることになるので、髓に五藏六府の正氣や人身の精氣が合わさり、いろいろな活動ができるようになっているのが脳ではないかと考えました。
そうであると、李時珍が(1-16) 『本草綱目』第三十四巻 木之一 香木類三十五種 辛夷 苞(發明)にて「脳は元神の府と為す。」と言っているのにも納得がいきます。

奇恒の府その4 脈

次に脉です。

『素問』脈要精微論(17)には「夫れ脉なる者は血の府なり。」
『素問』五蔵生成論(10)には「心の合は脉なり。」
とあります。

『素問識』ではこの「心の合は脉なり。」を
「張は云う、心は血を主り、血は脉中を行ぐる。故に脉に合す、と。呉は云う、心は血を主り、心は神を藏す。脉は則ち血の體にして神を用いる。故に心は脉を合す、と。」
と解釈しています。

これらから考えると、脉は血が集まり體となったもので、脉は血そのもの。
これらから、血は心に属し、脉も心に属することになります。
その為、脉は心と深い関わりがあると言えます。

奇恒の府その5 胆

 次に膽です。

『素問』霊蘭秘典論(8)には「肝なる者は将軍の官。謀慮焉より出づ。膽なる者は中正の官。決断焉より出づ。」
『素問』奇病論(47)に「病名付けて膽痺と曰う。夫れ肝なる者は中の將なり。決を膽に取り、咽これが使と爲す。此の人は數しば謀慮して決せず。故に膽は虚し、氣は上溢して口これ苦しむと為す。」

とあります。

これらから、肝によって謀慮し、膽によって実行する決断をしていることになりるので、肝と膽は互いに協力し合っていることが分かります。

『霊枢』本神(08)では、「怵、思慮する者は則ち神を傷り、神傷るれば則ち恐懼し、流淫して止ず。」
『素問』宣明五気(23)には「心は神を藏す」
とあります。

これは決断が無ければ思慮して神が傷られ、神が傷られれば、心も傷られるということを言っています。
逆にいうと、決断ができれば思い悩むこともないので神は安定し、心も安らかであるということになります。

このことから、膽は肝と心とに深い関わりがあると言えます。。

奇恒の府その6 女子胞

 次に女子胞です。

女子胞は『素問識』によると、
「張は云う、子宮是なり。」

とあるので、女子胞とは子宮のことを指しているのが分かります。

ただ、『素問』『霊枢』では「女子胞」の使用箇所は「奇恒の府」を説明している『素問』五蔵別論(11)のみで、後は「胞」としています。

『素問』奇病論(47)には、「胞の絡なる者は腎に繋がる。」
『素問』評熱病論(33)には、「月事來たざる者は、胞の脉閉ずればなり。胞の脉なる者は、心に屬して胞中を絡う。今、氣上りて肺に迫り、心氣の下通することを得ず。故に月事來たざるなり。」
『霊枢』五音五味(65)には、「衝脉と任脉は皆、胞中より起こり、上は背裏を循りて經絡の海と為す。」
とあります。

これらから、女子胞は五藏では腎と心とに、奇経では衝脈と任脈とに深い関わりがあると言えます。

奇恒の府その7 まとめ

「奇恒の府」と五藏との関係を纏めると、
腦、髓、骨…腎と深い関わりがある。
脉…心と深い関わりがある。
膽…心と肝に深い関わりがある。
女子胞…腎と心に深い関わりがある。奇経では任脉と衝脈にも関わりがある。

ということになります。
すなわち、「奇恒の府」を治療しようとすれば、奇経に及ぶものもありますが、特に腎や心を整えてあげれば良いということになります。
 今回調べるにあたって、日本の経絡治療の本をみても、「奇恒の府」について書かれている本は見つけられず、中医学の本にのみ見受けられました。
これについて最初はとても疑問に思えたのですが、五臓を整えることで「奇恒の府」も整えられるので、とりたてて取り上げることもないから載っていないのだろうと感じました。
中医学の本で載っていたのは、弁証論治によるもので、正確な弁証をしようとすれば「脳髄不足」等、「奇恒の府」を出さないといけない場合もあり得るからではないかと思われます。
プロフィール

kouitsu

Author:kouitsu
新米鍼灸師です。
元々違う分野を勉強していましたが、ある時身体の調子をくずしてしまい、その過程で東洋医学に興味を持ちました。

はじめてこのブログへこられた方はこちらをお読みください。

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