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六十九難と七十五難のまとめ

お久しぶりです。
六十九難と七十五難についての理解が深まったので、ここでまとめてみたいと思います。

まずは六十九難について
経絡治療において、『難経』六十九難が基本となっています。
ちなみに六十九難の重要な文章は、「虚すれば其の母を補い、実すれば其の子を瀉す。」というところです。
五行において、自身を生み出す者を「母」とし、自身から生み出す者を「子」としています。
木行を例えにとると、「母」は水行、「子」は火行ということになります。

これを配穴に応用すると、
木行は肝木です。
肝虚の場合は、肝木の母を補うので腎水を補うことになります。
よって、肝の水穴である曲泉、腎の水穴である陰谷が選ばれることになります。
肝実の場合は、肝木の子を瀉すので心火を瀉すことになります。
よって、肝の火穴である行間、心の火穴である少府が選ばれることになります。

それでは、六十九難の定義みたいなものをおさえておきましょう。

(1)連続する二経の虚もしくは実のパターンであること。
(2)虚証は子を証の名前とし、実証は母を証の名前とする。
(3)結果として、五行のバランスは「虚虚平実実」となる。


(1)については問題ないと思います。
(2)については意外と落とし穴になるところです。
六十九難では虚証を基本とするので、実証はあまり考えない傾向があるからです。
(3)につては六十九難を整理すると、このような五行のバランスになります。
それぞれの証において、以下のような脈の状態になります。

六十九難脈証

表の青は虚証の名前になっている部分、赤は実証の名前になっている部分です。

それぞれの配穴は以下のようになります。
六十九難配穴

*経絡治療では心虚や腎実はめったに起こらないとして、肝虚、脾虚、肺虚、腎虚、肝実、心実、脾実、肺実のみを考える場合があります。
*経絡治療では「心は病まず」として、心経の代わりに心包経を使う場合があります。

では次に七十五難です。
七十五難の詳細は『難経』七十五難に書いていますのでこちらをご覧ください。

それでは『難経』七十五難の状態をみてみましょう。
要点としては、「東方実して西方虚せば、南方を瀉して北方を補う。」ということです。
これを図で示してみましょう。

七十五難の基本


七十五難は方角で書かれているので、これを五行色体表に照らし合わせると上のようになります。
北方は補うので虚していると考え、南方は瀉すので実していると考えます。
残る中央は虚でも実でもない平だと考えます。
これが「肺虚肝実」と呼ばれている証の状態です。

ここで注目すべきなのは、肺と腎が虚して肝と心が実しているということです。
これは上の六十九難の定義に従うと、腎虚と肝実になります。
つまり「肺虚肝実証」は、脈の状態からみると「腎虚肝実証」ということになります。
腎虚をあえて肺虚としているのは、肺が一番の原因であり、肺が虚してその子である腎も虚してしまったと考えているからです。
このことを理解していると、配穴もすんなりだすことができます。
まずはそれぞれの脈の状態を示してみましょう。

七十五難脈証

*虚証は子を証の名前とし、実証は母を証の名前とします。
*五行のバランスは、「虚虚実実平」となります。

つぎは配穴です。
七十五難配穴

*青は補い、赤は瀉します。

「肺虚肝実」を「腎虚肝実」と考えると、腎虚の復溜-経渠、肝実の行間-少府のうちそれぞれ虚や実の名前があるほうの経穴(腎虚なので腎経の復溜、肝実なので肝経の行間)を選べば、それが七十五難の配穴になります。
実際に六十九難の表と比べてみましょう。
六十九難配穴と七十五難配穴の関係

この斜めの線が、それぞれの配穴になっているということが分かります。
ここから、七十五難型は六十九難型の変形バージョンということが分かります。
このことを応用すると六十九難型でも補と瀉を混合した配穴も求められますが、実際に使えるかどうかは分からないので保留ということにさせてください。

ちょっと長くなりましたが、六十九難と七十五難についてはこんなところだと思います。
記事を分割しようかとも思いましたが、続けた方が理解しやすいかな、と思ったのでこのような形をとりました。

今回この記事を書くにあたって、脾虚や火経の扱いに関しては教科書の記述をベースとしています。
最近の経絡治療では脾虚は少府-大都を使わなかったり、心経の代わりに心包経を用いることもあるのですが、それに関してはそれぞれに変換してもらえれば結構です。基本はこの記事の通りで大丈夫だと思いますので。

また何か思いついたら付け加えていきたいと思います。
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Re: 五行穴について

はじめまして。コメントありがとうございます。

井滎兪経合原は『霊枢』本輸篇 第二、
絡は『霊枢』経脈篇 第十の別絡(十五絡)、
兪は『霊枢』背兪篇 第五十一(五藏のみ)、
募と郄は『明堂孔穴針灸治要』(『鍼灸甲乙経』)
が元になっているのだと思われます。

『霊枢』背兪篇 第五十一には、背部兪穴の中でも五藏の兪穴のみが記載されています。
『霊枢』には郄と募についての記載はありません。
『難経』六十七難には背部兪穴と募穴に関する記載はありますが、具体的な経穴までは載せていません。

現在の経穴は、『明堂孔穴針灸治要』(『明堂』)というものが一番の根底にあると思われます。
ただ、『明堂』は現在は失われた書であり、その概要を『鍼灸甲乙経』に残しているだけです。

『鍼灸甲乙経』には現在の要穴表のうち、心包経の募穴以外の記載があります。
前の経穴の教科書の大元である『銅人兪穴鍼灸図経』でも心包の募は記載されていません。
心包の募穴が定まったのは、沢田流の代田文誌先生の影響であると思われます。
「鍼灸治療基礎学」P35-P36に、このように書かれています。
「この表にもあるように、上記十一経には募穴があるが、心包経には募穴がない。これは古典に於ける遺落であると私は思っている。心包の募は膻中であるらしい。私は膻中をもつて心包絡の募として用ひてる。
(略)
(註。膻中が心包の募穴であるとの主張は、私の創設であって、既に昭和十五年頃からこれを主張し、昭和十五年に刊行した「鍼灸治療基礎学」第一版においてこれを述べている。)」
ということから、心包募である膻中が最後に定まったと言えると思います。

現在存在している鍼灸の古典を年代順に並べると、
『足臂・陰陽十一脈灸経』→『素問』→『霊枢』→(『明堂』)→『鍼灸甲乙経』
になると思われます。
経穴に関する具体的な古典は『鍼灸甲乙経』が最も古い書になるのですが、その内容は現在言われている経穴とさほど変わりません。

五行穴や五要穴の編纂過程については未だ謎であると言えると思います。
特に、郄や募については『素問』、『霊枢』ともに伝えてはいませんので・・・。
長々となりましたが、このようなところだと思います。

No title

お返事が遅くなりました。
お忙しい中、早々のご回答ありがとうございました。

大変参考になりました。
自分でもご紹介して頂いた文献をあたってみます。

また、コメントをさせて頂くかもしれませんが、
その際は宜しくお願い申し上げます。
プロフィール

kouitsu

Author:kouitsu
新米鍼灸師です。
元々違う分野を勉強していましたが、ある時身体の調子をくずしてしまい、その過程で東洋医学に興味を持ちました。

はじめてこのブログへこられた方はこちらをお読みください。

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