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四総穴について

現在受験勉強中ですが、受験勉強の息抜きがてら、たまっているネタの中から書けそうなものを書いていこうと思います。
今回は四総穴について。

四総穴の出典は「中国鍼灸秘訣集 鍼灸歌賦全集」(著者:今村隆神鍼、出版社:たにぐち書店)によると、明・朱権による『乾坤生意秘蘊(けんこんせいいひうん?)』にあるようです。

内容は、

四総穴歌

肚腹三里留。
腰背委中求。
頭項尋列欠。
面口合谷収。


です。簡単な文章(歌)ですね。
書き下しとしては、

四総穴の歌

肚腹は三里に留め、
腰背は委中に求む。
頭項は列欠に尋ね、
面口は合谷に収む。

となります。

四総穴の意味は、「身体を四分割したときの、主治とその経穴」というところでしょうか。
経穴の教科書でもこの「四総穴歌」は載っています。それほど効果的な組み合わせであるといえます。
しかし、何故これらが四総穴としての役割を持っているのかを説明してくれていません。
そこで今回はこの問題について考察してみました。

<四総穴の構成について考えた場合>
まずは四総穴の構成をみてみます。
主治は体幹と頭部の前後で、その配穴は手足それぞれ二穴ずつとなっています。
この配穴を改めて考えてみると、「なるほどな」と思いました。
「四総穴」という名前になっていますが、このような配穴をすると「八総穴」ともいえる効果を発揮するからです。

何故なら、
手の陰経によって「頭項」を治すのと同時に、手の前面の痛みを治し、
手の陽経によって「面口」を治すのと同時に、手の後面の痛みを治し、
胃経によって「肚腹」を治すと同時に、足の前面の痛みを治し、
膀胱経によって「腰背」を治すと同時に、足の後面の痛みを治すことができると思うからです。

「四総穴」は「身体を四分割にしたときのそれぞれの主治穴」的な意味合いです。それなら何故膝周りの痛みとかが示されてないんだろうと思っていました。確かに顔面痛は多いですが、それよりも膝の痛みだとか肘の痛みとかの方が多いように個人的には思います。(ちゃんとした統計から話している分けではなく、あくまで自分の感覚なので間違っているかもしれませんが…。)
これらが主治で示されていない理由として、上記のように、それぞれに内包してあるからではないかと思います。
このように考えると、

上焦⇒頭
中焦⇒腰腹、手
下焦⇒足


ということになります。
良く痛みが起こりやす部位をカバーすることになります。しかもバランスがとれた配穴です。

これがあるからこそ、列欠という陰経の経穴が紛れこむ要因にもなっていると思います。列欠に関しては次でも触れたいと思います。

<主治を中心に考えた場合>
次は主治についてみてみます。
体幹は腹部(体幹の前(陰))と腰部(体幹の後(陽))を治すとしています。
腹部を胃経の合穴及び下合穴である足三里で、腰部を膀胱経の合穴及び下合穴である委中で治すとしています。
胃経は腹部に流注があり、膀胱経は腰部に流注があります。

『霊枢』の邪気蔵府病形篇には、「栄輸は外経を治し、合は内府を治す。」とあります。
この条文の「合は内府を治す。」に注目してみます。『霊枢』における「合穴」とは、ほとんどが「下合穴」を指しているようです。

この条文を治法の基礎と仮定します。
この「合穴」が「下合穴」を指すならば、手足の陰経には合穴はなくなり、手足三陽経にしか治療穴をもってこれないことになります。
そのため、胃腸疾患には腹部に流注をもつ、腎経、脾経、肝経は選ばれず、胃経を治療のメインにしたのだと思います。
胃経の下合穴といえば足三里。だから「肚腹は三里に留む。」としたのでしょう。
足三里は臨床的にも胃腸の疾患に大変有効な経穴です。

また、腰部に流注をもつのは十二経脈では膀胱経だけです。
膀胱経の下合穴は委中。だから「腰背は委中に求む。」としたのでしょう。
委中は臨床的にも腰部の痛みに大変有効な経穴です。

このように足三里と委中は理論的にも、臨床的にも最適な配穴といえると思います。

次は頭部です。
頭部は顔面部(頭の前)と後頭部及び後頚部(頭の後)を治すとしています。
顔面部を大腸経の原穴である合谷で、後頭部及び後頚部を肺経の絡穴及び任脈の主治穴で治すとしています。
大腸経は顔面部に流注はありますが、肺経は後頭部に流注をもちません。
また、上の下合穴を使うということもしていません。大腸経は原穴ですし、肺経は絡穴です。
そもそも下合穴とは膝周りの経穴であって、手の三陰経上と三陽経上には存在していません。
もし大腸で下合穴を使うとすると上巨虚になります。しかし上巨虚と大腸経は流注では直接接続していません。
上の足三里と委中は流注で直接つながっていましたが、今回はそうならないことになります。

また、後頭部を通る経脈の流注を考えると、腰部と同じく膀胱経になります。
膀胱経なので、下合穴の委中が選ばれることになります。しかし、二部位を同じ経穴で治すことになるので、「四総穴」の発想としてはあまり適切ではありません。
ここで、<四総穴の構成について考えた場合>で触れた考えを適用したのだと思います。
そうすると、中焦の病である体幹を足の二穴(結果的には中焦と下焦の病)で治し、上焦の病である頭部を手の二穴(結果的には上焦と中焦の病)で治すようにしたのだと思います。
そうすることで穴と主治のバランスもよくなります。足は下合穴から選ぶことは必然的ですが、手は下合穴にかわる経穴が必要となります。そこで五要穴や五行穴から選んだんではないでしょうか。
顔面部(前額面)は陽明経の主るところです。
陽明経は胃経と大腸経になります。
この二つの経の内、足の陽明経はすでに「肚腹」の主治に使っているので、上焦を意識して大腸経の方が適切となります。
大腸経の中でも一番力を持つ原穴の合谷にしたのではないでしょうか。
臨床的にも歯の痛みを代表とする、顔面部の痛みを合谷で治すことはあります。

さて問題は後頭部です。後頭部には上焦を主る手の経脈に流注をもつものはありません。手の三陽経は大椎穴で交会はしていますが、後頭部を治そうとするには不十分だと思います。大椎はどちらかというと熱を調整する経穴だと思いますし、督脈なので十二経脈からはずれてしまいます(厳密にいえば、陽経の経脈のほとんどが交会しています)。

そこで蔵象を考えたのではないでしょうか。蔵象で後頚部及び後頭部と関係があるのはなんといっても肺になります。
肺は気を主り、皮毛を主ります。これらから衛気も肺が主ることがわかります。
衛気が低下すると、免疫力が低下しているのと同じことになるので、身体に外邪が侵入しやすくなります。風邪が入り込む場所は、後頚部の風門や風池ということになります。
このように体内に風邪の侵入を許すということは、太陽病になりやすいということです。
太陽病の詳しい病症に関しては、漢方の古典である『傷寒論』にあります。
『傷寒論』によると、太陽病とは、「脈浮、頭項強痛にして悪寒と為す。」のようです。
この「頭項強痛」が後頭部及び後頚部にあたります。

これで肺経が選ばれることになります。
<四総穴の構成について考えた場合>の考えを適用すると、手の前面である手陰経から選ばなくてはいけません。
肺経はまさに手陰経であるので、理論的におかしくないことになります。

そして肺経の経穴の中でも絡穴が用いられているのは、絡穴の特徴である表裏経との連絡作用、つまり大腸経と関連している場所だからだと思います。
大腸経は顔面部に流注をもつと同時に後頚部にも流注をもっています。
そこで肺気を調整し、かつ大腸経にも影響を与えやすい列欠が適切であるといえます。

「ツボ単」によると列欠の穴性は「宣肺疏風」です。この意味は、「肺の宣発作用を強め、風の流れを良くする。」というところでしょうか。あまり中医学には詳しくないので間違えているかもしれませんが・・・。
穴性学でも風を処理できるとしているので、臨床的にも充分効果のある穴だと思います。

今回はこんなところです。
もうひとつ流注から考察したものもあるのですが、これに関しては書きたくなったら書きます。
少し長めの古典条文が絡むので、今はやりたくないのです。

さてさて今回の記事は四総穴の主治と配穴ありきによる解説です。話し半分ですました方がいい内容(いつもそうか(^_^;))ですので、あまり鵜呑みにされないよう、ご注意ください。

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はじめまして

はじめまして!
今年の春から鍼灸学校に入学する者です。
鍼灸学生のブログないかな~と探していたところ偶然見つけました。

正直今の私には内容的には難しすぎて分かりませんが、
これから勉強して理解できるよう頑張ろうと思います☆

これからもちょくちょく遊びにきます~。

Re: はじめまして

サムさん、はじめまして!

今年の春から鍼灸学校に入学ですか~。
いいですねぇ。僕はもう卒業まじかになってしまいました。

鍼灸学校ではいろんな勉強をすると思います。
場合によっては、学校で習う事以上の勉強しないと理解できないこともあると思います。
このブログの内容は学校で習わないことばかりですが(^_^;)
東洋医学はイメージや考え方、ひらめきが大事になってくるので、妄想にふけるのも良いかもしれません。

これからもちょこちょこ更新していこうと思っているので、いつでも遊びに来てくださいね。

四総穴

 今まで、四総穴が何故これなのか?考えたことはありませんでした。昔から伝わる特効穴の類だろうと思っていました。
 以外や以外、考察してみると、バランスの良さ、理屈も現実も見事に適した四穴だったとは。

 もうすぐ国試ですが、良い結果がでるよう、お祈り申し上げます。

Re: 四総穴

やいと屋 知足斎さん、コメントありがとうございます。

今回は何とか理論的にあてはめようとした結果ですけどね(^_^;)
四総穴の他にも、よくよく考えたら何か理論めいたもので配穴されたものがあるかもしれません。
何か考えつき次第、記事にしても良いと思いますけど。

国試まであと7日。万全の体調と成果で望みたいと思います。
プロフィール

kouitsu

Author:kouitsu
新米鍼灸師です。
元々違う分野を勉強していましたが、ある時身体の調子をくずしてしまい、その過程で東洋医学に興味を持ちました。

はじめてこのブログへこられた方はこちらをお読みください。

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