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東洋医学的な胎児の成長とは

最近、おめでたいことに知り合いの方が妊娠されました。
そういえば、昔の中国人は胎児が成長する過程をどのようにして考えていたのでしょうか。
その一端が『淮南子』精神訓に書かれているので、今回はこれを紹介しようと思います。

夫れ精神は天より受くる所なり。而して形体は地に受くる所なり。
故に曰く、一は二を生じ、二は三を生じ、三は万物を生ず。万物は、陰を背として陽を抱き、冲気は以て和と為す、と。
故に曰く、一月にして肓、二月にして[月失]、三月にして胎、四月にして肌、五月にして筋、六月にして骨、七月にして成り、八月にして動き、九月にして躁ぎ、十月にして生ず。形体は以て成り、五蔵乃ち形す、と。
是のゆえに、肺は目を主り、腎は鼻を主り、胆は口を主り、肝は耳を主り、脾は舌を主る。
外は表と為して内は裏と為し、開閉張歙は、各々経紀有り。
故に頭の円なるや天を象り、足の方なるや地を象る。
天に四時、五行、九解、三百六十日有り。人も亦た四支、五蔵、九竅、三百六十六節有り。
天に風雨寒暑有り。人も亦た取与喜怒有り。
故に胆は雲と為し、肺は気と為し、肝は風と為し、腎は雨と為し、脾は雷と為し、以て天池と相い参わるなり。而して心は之れが主と為す。
是の故に耳目なる者は日月なり。血気なる者は風雨なり。
日中に踆烏有りて月中に蟾蜍有り。
日月が其の行を失えば薄蝕して光無く、風雨が其の時に非ざれば毀設して災を生じ、五星が其の行を失えば州、国は殃を受く。


とあります。よくよく見ると五蔵の配当が現在とは異なりますが、当時は諸説あって一定していないです。医学的に固定されたのは『素問』『霊枢』からでしょうが、哲学書なんかをみていると一定していない様子が見受けられるので、ここらへんについては気にしなくても大丈夫です。(参考として、いくつかの文献での五蔵の五行配当をならべておきます。)重要なのは、天地(陰陽)から人ができているということでしょう。

女性が妊娠すると、胎児は、
一月で肓(あぶら)が生じ、
二月で[月失](肉塊)となり、
三月で胎児の形となり、
四月で皮膚が生じ、
五月で筋肉ができ
六月で骨が固まり、
七月で形が整い、
八月で動きはじめ、
九月で躁(さわ)ぎだし、
十月で生まれる
としています。
現代医学的にもだいたいあっているような感じです。昔の人もよく観察していたのでしょう。
この十月十日で生まれてくる姙娠の課程ですが、数字のもつ意味とほぼ一致しているような感じです。こちらで書きましたが、もう一度表をだしてみると、

 
陰陽
五行
意味
生数
立つ
謀り事をめぐらす
出る
増す
結合
成数
興る
変化
伸び広がる
激しくなる
均しくなる

です。
だいたい一致するように思いませんか?ひょっとしたらこの数字の意味は姙娠の様子からヒントを得ているのかもしれません。

人は天地(陰陽)からできているのだから、自然界とも一致している、と論は続きます。天人合一の思想ですね。
日月、風雨、五星の順行が狂えばその影響も大きくでるように、人も五蔵の調子が悪くなると病気になりやすくなる、というのが最後の文なのでしょうね。
人も自然の一部だということを実感させられます。

追記
参考として、主な文献の五蔵の五行配当を載せておきます。
 
『管子』
水地篇
『五行伝』
月令
『淮南子』
時則訓
『明堂』
月令
『礼記』
月令
『呂氏春秋』
『説文』
月令
『太玄経』
『淮南子』
墜形訓
『白虎通』
精性
『素問』
『霊枢』
『夏候伝』

(「陰陽五行説―その発生と展開」(監修:根本光人、著者:根本幸夫・根井養智、薬業時報社  P97より)

順番は時代順ではないようです。
『素問』『霊枢』と配当が同じなのは『白虎通』精性、『夏候伝』、近いのは『淮南子』墜形訓のようです。
この表をみてみると、五蔵の五行配当はどうやら『月令』の系統と『白虎通』の系統の二種があるようですね。
これについても記事を別にして書こうと思います。
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おお凄い

陰陽論は、老荘思想、五行説は淮南子と言われておりますが、既に淮南子に胎児の秘密が書かれているとは。

私は胎児云々は「医心方」もっとさかのぼれば「千金方」あたりだと思っておりました。既に淮南子に記載があるとは驚きました。

五臓と五行の配当は、本当に今の通説であっているのか?という異論はあるにはありますが、今の配当でも治療に困らないし、困っても大昔の配当を見ますと、それなりに得るものはあります。

人間は自然界の一部である、という考えてみれば当たり前の事を現代人は忘れがち。場合によっては鍼灸師でさえも。私は謙虚に考えろよ、という戒めの言葉として肝に銘じておきます。

Re: おお凄い

やいと屋 知足斎さん、コメントありがとうございます。

>私は胎児云々は「医心方」もっとさかのぼれば「千金方」あたりだと思っておりました。既に淮南子に記載があるとは驚きました。

そうなんです。以外にも「淮南子」から治療や思想的なヒントを得ることが多いんですよね。個人的には天文関係の記述(天文訓)も充実していので参考にしていることが多いんですけどね。


>五臓と五行の配当は、本当に今の通説であっているのか?という異論はあるにはありますが、今の配当でも治療に困らないし、困っても大昔の配当を見ますと、それなりに得るものはあります。

五蔵と五行の配当に関して、いろんな文献から比較しているものを見たことがあるのでこう書きましたが、結構バラバラですよね。
昔の文献と今の配当があっていないからすぐに間違いとは言い難く、何かしらの根拠があってのことだったと思うので、その背景にあるものを考えて見るのもおもしろいかもしれません。
この記事を書いていた時にはどこかに書いてあってと思いながらも見つけることができませんでしたが、さっき見つけることができたので記事に追記しておきますね。

>人間は自然界の一部である、という考えてみれば当たり前の事を現代人は忘れがち。場合によっては鍼灸師でさえも。私は謙虚に考えろよ、という戒めの言葉として肝に銘じておきます。

そうですね。自然があるからこそ人間も生活できている、というのは最近よく感じますね。僕も肝に銘じておきます。

No title

胎児の成長について興味深く拝見しました(^^)

おもしろいですね。

五行については、学生のころはどれが正しいのか?なんて思いましたが、臨床をしているとどれも正しいじゃないのかと思ったりもします。病の段階に応じて臓は相互的に関係してきますし、1つの蔵が原因の単純な病なんて極マレですし(^^;)

古典や五行を運用して治療されている先生から大問題なのかもしれませんが。。。
プロフィール

kouitsu

Author:kouitsu
新米鍼灸師です。
元々違う分野を勉強していましたが、ある時身体の調子をくずしてしまい、その過程で東洋医学に興味を持ちました。

はじめてこのブログへこられた方はこちらをお読みください。

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