スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

腹部募穴について

今回は募穴についてです。
『素問』、『霊枢』には「募穴」についての概念はありませんが、いくつかでてきます。

『素問』通評虚実論 第二十八

腹暴かに満ち、之れを按じて下らざるは、手太陽經の絡なる者、胃の募なる、少陰の兪、脊椎を去ること三寸の傍らを五取り、員利鍼を用う。

『素問』奇病論 第四十七

帝曰く、病に口苦有りて陽陵泉を取るも口苦ある者は、病名づけて何と為すや。何を以って之れを得るや?
歧伯曰く、病は名づけて膽癉と曰く。夫れ肝なる者は中の將なり。取决を胆に取り、咽は之れが使と為す。
此の人なる者は、数しば謀慮して決せず。故に胆が虚し、気は上溢して口は之れが為に苦し。之れを治するに胆の募俞を以てす。治は《陰陽十二宮相使》中に在り。

このように胃と胆の募については出てきますが、具体的な経穴名までは分かりません。(まぁ「胆募」とか「胃募」とかも経穴名ととらえることはできますが、現在の中脘と日月を指すかどうかまでは分かりません。)また、『霊枢』百病始生篇 第六十六、『霊枢』歳露論 第七十九に「募原」という用語が見えますが、所謂募穴と原穴のことではないようです。

募穴はどのように使うかは『難経』によってようやくでてきます。

『難経』六十七難には、

五蔵の募は皆な陰に在り、兪は陽に在るとは何の謂いぞや。
然るなり、陰病は陽に行り、陽病は陰に行る。
故に募は陰に在り、兪は陽に在らしめる。

とあります。ここでは経穴名までは載っていません。

具体的な経穴については、『脈経』巻三でようやく出てきます。
肝胆部 第一

募は期門に在り。
募は日月に在り。

心小腸部 第二

募は巨闕に在り。
募は関元に在り。

脾胃部 第三

募は章門に在り。
募は太倉に在り。

肺大腸部 第四

募は中府に在り。
募は天枢に在り。

腎膀胱部 第五

募は京門に在り。
募は中極に在り。

とあります。
このように、『脈経』では心主と三焦以外の募穴について書かれています。
『脈経』巻之六には心主以外の十二経脈の病症について書かれています。その中に灸の治療穴として兪募穴が挙げられていますが、それはあくまで陰経のみであり、陽経では他の治療穴が書かれているようです。

『鍼灸甲乙経』では、

期門は、肝の募なり。

日月は膽の募なり。

巨闕は心の募なり。

関元は小腸の募なり。

章門は脾の募なり。

中脘は一名を太倉、胃の募なり。

中府は、肺の募なり。

天枢は大腸の募なり。

京門は腎の募なり。

中極は膀胱の募なり。

石門は三焦の募なり。

とあり、心包以外の募穴が定まっています。
残りの心包の募穴については明代の『類経図翼』にも記されていないため、心包には長らく募穴が存在していないと考えられていたようです。
いつから心包の募穴が言われ出したかと言うと、どうやら澤田流の代田文誌先生によるとのことです。

この表にもあるように、上記十一経には募穴があるが、心包経には募穴がない。これは古典に於ける遺落であると私は思っている。心包の募は膻中であるらしい。私は膻中をもつて心包絡の募として用ひてる。
(略)
(註。膻中が心包の募穴であるとの主張は、私の創設であって、既に昭和十五年頃からこれを主張し、昭和十五年に刊行した「鍼灸治療基礎学」第一版においてこれを述べている。)」

(「鍼灸治療基礎学」P35-P36)
浦山玖蔵先生によるとこのような経緯から、現在の中医学では心包の募穴は定められていないといいます。

戦後の一時期、中医学においてもこの説を採用する動きが見られたが、1980年代以降は採用されていない。

つまる所、募穴は心包募以外の十一穴であるとのことでしょう。日本では心包募=膻中としているのでこの考え方はむしろ異端になるでしょうけどね。
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

kouitsu

Author:kouitsu
新米鍼灸師です。
元々違う分野を勉強していましたが、ある時身体の調子をくずしてしまい、その過程で東洋医学に興味を持ちました。

はじめてこのブログへこられた方はこちらをお読みください。

カレンダー
プルダウン 降順 昇順 年別

10月 | 2017年11月 | 12月
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -


カテゴリ
FC2カウンター
FC2ランキング
メールフォーム
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

人気ページ
日めくりカレンダー
検索BOX・タグ一覧
サイト内検索

全記事一覧,全タグ一覧へ

最近の記事+コメント
最新トラックバック
RSSリンクの表示
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。