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鍼道秘訣集④ 三清浄その3

鍼道秘訣集第4章 三清浄の続きです。

是、貪欲(どんよく)・瞋恚(しんい)・愚癡(ぐち)の三つの念(おも)いあらざる日(とき)は、心清し。
此故に、心を清浄に持つを三つの清浄(すまし)と云う。是の心持ち、諸藝(しょけい)に用いる事なり。
殊に神へ参詣するにも身を清むるは次にて、心の清浄を専(せん)とす。心清ければ、神(たましろ)清きがゆへに、向いの神も又清く納受あるなり。

往古(いにしえ)栂尾(とかのお)の明慧(みょうえ)上人と笠置(かさき)の解脱上人と此兩(ふたり)の名僧をば、春日大明神雙(そう)の御眼雙の御手の如く思召けるに、明慧参詣の日は、御簾上り、直(じき)に明慧と春日御物語成され、解脱参詣し玉うには、御簾を隔だて御物語成さる。
或日、解脱上人参籠(さんろう)有りて、春日へ御申し有りけるは、
神と申し奉るも佛の垂跡(すいじゃく)なり。佛は降る雨の草木・國土を漏さず、濕(うる)おすが如く、平等にして隔て更に無し。然るに、明慧と我と別の違い有るべからざるに、明慧参詣には直に御對面(たいめん)あり、我詣ぬるには、御簾(れん)を隔て御物語し玉う事、心得え難しと問い玉う。
明神仰けるは、我に何の隔て事の有るべき。其の方、左様に念う心、御簾の隔てとなるなりと御返答御坐けると、是解脱房の心に慢心の我あるゆへなり。

又、古(いにしえ)美濃の國、加納の城に於伊茶(おいちゃ)と申す女の母、重病を受け苦む。
於伊茶(おいちゃ)、餘(えり)の悲しさに、關と云う處に、龍泰寺の全石と申す僧を請じ、祈祷の為に陀羅尼(だらに)を讀(よ)みてもらひける。
全石一心不亂に陀羅尼を讀むこと暫く有りて、母頭をあげ、やれやれ嬉しや、頃(このごろ)心の内に苦みありて悲しかりけるに、御經の力に依り、苦み無しと、悦ぶ事涯(かぎ)り無し。
厥時(そのとき)、全石憶う様、最早布施をもらい歸(か)えるべきか、今少し逗留(とうりゅう)すべきかと思う心出来(いでき)ける時に、母やれやれ悲しや還心苦しく成て候と悲しむ。
全石、是を聞き、扨(さて)は我に欲心出る故と念(おも)いとり、前(さき)の如く、一心不亂に陀羅尼(だらに)を讀みければ、母も病漸漸(ぜんぜん)に軽く成り、終に痊えけるとなり。

此も皆我心の清浄と不清浄との謂(いわ)れにて、加様の善悪あり。
又、病者に向うて憶病(おくびょう)出る人有り。是は我藝(わざ)の至ざる者(ひと)は、心に動轉(どうてん)出で易し。去れば、不動明王の背(せなか)なる伽婁羅炎(かるらえん)は心火をあらわす。
其の火の内に、不動御座(おわします)は、人人の心の動ぜざる體なり。諸藝(けい)共に不動の體とならざれば、其の事(わざ)成り難し。
歌に、
鳴子をば 己が羽風に 任つつ 心と騒 村雀哉

此の段能能心掛け、工夫を成すべし。是、心持第一の事なり。

以上で終わりです。

ご覧の用にかなり長いです。他の章はこんなに長くありません。つまり、この章が『鍼道秘訣集』で最も言いたいことになります。
自分の心に曇りがあると、隔たりがあるように見えたり、治療しても効果がでない、といったことが霊をあげて書かれています。
これは本当に大切なことですね。
この章を何回も読みなおして治療に当たりたいものですね。
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無分の心

 つい最近ですが、無分流打鍼術の勉強会に行って来ました。そこで「鍼道秘訣集」を改めて手にとって観ました。

 この章の哲学の部分は、深いですね。禅の心、治療家の真髄が宿っています。

 僕のハンドルネーム「知足斎」は江戸前期の名医「永田(永田)徳本」の号「知足斎」を勝手に頂いたものです。徳本のような名人になりたいという意味もありますが、「知足」とは足るを知る。老子など老荘思想に出てくる「知足の戒め」を自分の戒めにする為です。

 欲望に突っ走らずに、腹八分目で満足する、そのようにしなさい、という教えであり、そういう気持ちを持とうとしていますが、なかなか上手くいかないみたいですね。 一生、精進の道です。

Re: 無分の心

コメントありがとうございます。

この章は本当に治療家にとって大切な部分だと思うので、鍼灸師の人はなるべく読んでほしいですよね。

三の清浄には
【十が十ながら無我無欲にならずとも、半分にても心清して病を痊さん事は疑い無し。】
とも書かれているので、実践したいという気持ちから始めればいいのだと解釈しています。
うまくできなくても、実践しようとする気持ちが大切なのだと思います。

僕も心の隅に留めて練習していきたいと思っています。

おいちゃ

初めまして。
ヤフーブログで、仮名草子を扱うブログをやっています。
仮名草子・因果物語の中に、この話が出て来たので、検索してみたらこちらに行き着きました。
少し相違はありますが同じ「おいちゃ」のお話でした。
「鍼道秘訣集」という本は、誰が書かれたのでしょうか?
「因果物語」の筆者は、鈴木正三という三河武士でした。
よろしかったら、見に来てください。

http://blogs.yahoo.co.jp/yoshy_1220526/8512618.html

Re: おいちゃ

yoshyさん、はじめまして。
そしてコメントありがとうございます。

「鍼道秘訣集」の著者は明らかにされていないと思います。
一応、
「鍼道秘訣集序 無分亦ハ無粉  夢分流」

となっているので、これだけを信用すると著者は夢(無)分翁(むぶんおう)ということになると思いますが、おそらくは夢分の弟子である御薗意斎(みそのいさい)等の門弟によるものだと思います。
この辺は研究者に聞かないとわかりません。

ブログ拝見しました。
確かによく似てますね。このお話はかなり有名だったのかもしれません。医術分野では考えさせる話でもありますし。
僕も鍼灸の資格がとれたら、余計な雑念にとらわれることなく、治療にとりくみたいものです。
プロフィール

kouitsu

Author:kouitsu
新米鍼灸師です。
元々違う分野を勉強していましたが、ある時身体の調子をくずしてしまい、その過程で東洋医学に興味を持ちました。

はじめてこのブログへこられた方はこちらをお読みください。

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